太鼓館研究 安全上から見た新居浜の太鼓台

 

新居浜の太鼓台の安全性やケンカの危険性それに事故防止策について考察することとしましょう。

長野県は諏訪大社の御柱(おんばしら)祭り大阪府は岸和田の地車(だんじり)祭りそして新居浜太鼓祭りの3つを総称して日本三大祭りと言います。但し日本三大危険祭りでして、過去にはそれぞれに数多くの死者を出しています。決して名誉なことではありませんが、それが故に地元民は熱狂し全国に多くのファンを持つのです。関係者の懸命の努力や取締当局の厳しい介入をしてもなおであって、とにかく危険なのです。

●太鼓台はその構造からして極めてアンバランスに出来ています。九重は上になればなるほど広くなっており、安定性が悪いのは見た目のとおりです。これを担くのですから上手に担かないといとも簡単にひっくり返ってしまいます。平常運行時でも安全性が高いとは決して言い切れない代物ですが、これに荒々しい所作が加わるのですから危険極まりない風流なのです。

事 故 の 型

●太鼓台での事故のパターンは、
 1舁き夫自身が被災するもの 2見物人が被災するもの

の2つに大別されます。それぞれに、
 A平常運行時 B舁き競べ時 Cケンカの際

のものがあります。最近15年間の死亡事故例を参考に分析してみましょう。

  年  次 地区 太鼓台 被害者 状      況 起因物
昭和63年 川東 又野 舁き夫 転倒して車輪に轢かれる 車輪
平成 4年 西条 大谷 見物人 転倒して車輪に轢かれる 車輪
平成 6年 川西 中須賀
大江
見物人
飛入?
C ケンカ所作中に車輪に轢かれる 車輪
平成 8年 西条 船屋 舁き夫 B 隣の太鼓台の舁き棒との間に
頭を挟まれる
舁き棒
平成 9年 川東 松神子
宇高
見物人 C 頭を舁き棒に突かれる 舁き棒

●1Aの型(舁き夫・平常)舁き夫が太鼓台の前で転倒して車輪に轢かれるというものです。昭和63年の又野太鼓台の多喜浜駅前での死亡事故はこの典型です。

●1Bの型(舁き夫・かき競べ)あまりのハッスルし過ぎのために発生するものです。九重係が身を乗り出し過ぎて九重から落ちて重体となるのが多いようです。他に担いている最中に左右のバランスを崩し棒を落した時に足を詰める事故もあります。平成8年の船屋太鼓台(西条)は統一寄せで隣の太鼓台とかき棒をくっつけて差し上げをする時に棒と棒の間に頭を挟まれてベテランの舁き夫が死亡しました。

●1Cの型(舁き夫・ケンカ)この型が最も多く最も悲惨な結果を招いています。正面からの突っ込み合いを展開する2台の太鼓台の間で、相手の棒に突かれるもの、ぶつかり合った衝撃によってカキ棒の上から落ちるもの、相手の舁き夫に殴られるもの、そして転倒して車輪に轢かれるというものです。平成6年の中須賀海岸での中須賀太鼓台の舁き夫(もともと見物人で飛び入り参加?)の死亡事故が記憶に新しいところです。この型の場合どんなことがあっても太鼓を打ち続けなければならない太鼓係が一番危いように思いますが不思議と太鼓係はあまりケガをしないようです。

●2Aと2Bの型(見物人・平常かき競べ)この型はあまり多くの例はありません。但し、見物人が子供や老人の場合は悲惨な結果となります。特に狭い農道や狭い街並を運行している時には事故が発生しやすくなります。太鼓台の脇棒と民家や電信柱やブロック塀の間に挟まれたり、誤って転倒して車輪に轢かれるというものです。平成4年の大谷太鼓台(西条)では小学生が犠牲となりました。

●2Cの型(見物人・ケンカ)これはいわゆる逃げ遅れです。平成9年の八旛神社東での宇高太鼓台と松神子太鼓台との対戦では若い娘さんが舁き棒に頭を突かれて死亡しています。

死 亡 事 故 原 因

死亡事故に限ってみますと、上で記した5例のうち3例が2輪車に轢かれたものであることに注目したいと思います。諸悪の根元はあの2輪車なのではないでしょうか。自重だけでも約2トン、運行時10人の乗組員を含むと約2トン半、有事の際には黒山状の人が乗って恐らく3トン以上の重量が2つの車輪にかかっているのです。生身の人間が轢かれれば一たまりもありません。2輪車が危険であることは関係者もある程度は分っていると見えて川西地区では統一行動時には2輪車を禁止して4輪台車を使用させています。

もう一つの起因物はあの舁き棒です。直接棒に突かれる、棒と台場や四本柱との間に挟まれる等の大きな危険が存在しています。

ぼんやりとではありますが原因がある程度分かってきますと、その対策も講じることが可能です。対策については項を改めたいと思います。

 

                                  (121119 記載事項変更)
(130621 記載事項変更)
(140817 デザイン変更)

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